大規模建築物の進まぬ耐震化…
10月24日、要緊急安全確認大規模建築物の耐震診断結果が公表されました。
弊社が行っている特定建築物の定期報告には耐震診断結果の記載などは必要ありませんが、不特定多数が出入りする大きな建物の安全を守る、という点では同じ話です。
一体何が起きているのか…難しく書いても仕方がないので、ざっくりと私、広報担当成田の言葉で説明したいと思います。
改正耐震改修促進法の改正ポイント
平成25年11月、建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律(改正耐震改修促進法)が施行されました。
国交省のページにわかりやすく概要が図式化されていましたので転載します。
⇒コチラから拡大してご覧いただけます。
大規模建築物の耐震診断について、大きな変更点をわかりやすい言葉でいうと…
POINT【1】
・不特定多数が利用する建築物(病院、店舗、旅館等)
・避難に配慮の必要な方が利用する建築物(学校、老人ホーム)
↓
このうち大規模なものについて、
「耐震診断を行い、報告を義務化、その結果を公表する」
POINT【2】
耐震改修を円滑に促進するため、容積率・建ぺい率の特例措置を講じる。
また区分所有建築物について、耐震改修が必要と認定を受けた建築物については、大規模な耐震改修を行う場合の決議要件が4/3以上から1/2超へ。
POINT【3】
耐震性が確保されていると認定を受けた建築物には、それを表示できる制度を創設。
こちらの施行を受け、北海道内の要緊急安全確認大規模建築物の耐震診断結果が、ようやく先月の10月24日に公表されました。
耐震診断結果を見て思ったこと
北海道のホームページに、札幌市・函館市・小樽市・旭川市・室蘭市・釧路市・帯広市・北見市・苫小牧市・江別市の10市、その他の北海道が所管する区域の耐震診断結果を確認することができます。
北海道ホームページ( 「要緊急安全確認大規模建築物」の耐震診断結果の公表について )
まず一番初めに思ったこと…
耐震診断結果を素人が見ても全く理解できません(笑)
耐震診断結果の見方という参考資料は添付されていますが…一般の利用者向けではないのでしょうか…(笑)
しかし「耐震改修等の予定」が実施時期とともに記載されており、某ファミリー向けリゾートホテルは来年建て替えるのかぁ…なんて情報もわかります。
結果表を見ていてもよくわからないので、「耐震診断結果の総括」を見ると、わかりやすく件数などがまとめて書いてありました。
札幌市でいうと…
震度6強から震度7程度で倒壊・崩壊の危険性が高い・危険性がある、とされた建築物が55棟、
そのうち耐震改修工事を行っているのは2棟のみ…
旭川市は…
震度6強から震度7程度で倒壊・崩壊の危険性が高い・危険性がある、とされた建築物が18棟、
そのうち耐震改修工事を行っているのは0棟…
進まぬ耐震改修工事
なぜここまで耐震化が進まないのか、理由は様々あるかと思いますが、第一に工事費用の問題が何よりも大きいようです。
一般の木造住宅でも、耐震診断を行った結果に基づいて耐震設計をし、そこから耐震工事となるため、時間も費用もかかります。
さらに北海道は地域特性上、断熱材がぐるっと施工されていますので、結局その部分もやり替えなくてはならないため数十万、数百万とかかってきます。
今回問題となっている大規模な建築物になると、鉄筋コンクリート造や鉄骨造が多いため、さらに大がかりで時間も費用もかかります。
建物規模にもよりますが、補修でも数億、数十億という単位になる事もあります。
築40年、50年…と経過している建物の改修工事に莫大な費用を注ぎ込むのか?注ぎ込めるのか?
仮に耐震性だけクリアしたとしても、外壁や設備など耐震とは直接関係のない部分も不具合が起きたり劣化をしていくので、年々メンテナンスが必要=費用がかかります。
商業施設やホテルなどにとっては、耐震性が足りていないという事が公表されるのは死活問題です。
かといって、きちんと改修工事を行ったとしても工事期間中の営業にも大きな影響が出ることが予想されます。
国や地方公共団体で補助金制度などもありますが、それだけでは賄いきれない、長期にわたる工事期間中の売上減少など表向きには見えにくい負担が多大、などやはり簡単に「ハイ直しましょう!」では済まない状況です。
北海道としても観光の基盤となるホテルなどが大きなダメージを受けることや、道内地方自治体への費用負担の発生を懸念し、平成26年5月には国へ財政支援や耐震診断結果の公表は慎重に、という要望書を出したりしているようですが…難しい問題です。
HBC「今日ドキッ!」で取材協力させていただきました
今回の件で、弊社代表の栃木がHBCさんの今日ドキっ!のもうひとホリのコーナーで、取材協力させていただきました。
耐震診断結果を報告していない所有者への命令もすでに公表されています。(所有者名・建築物名称・所在地等)
今後、耐震診断結果だけではなく、特定建築物に関しては定期報告の有無についても公表されるので、所有者(管理者)への負担は計り知れません…。
しかし私たちは「利用する方々の安全」を考えると、やはり所有者(管理者)の責任なので、しっかり調査・検査をして直すべきところは直してください、と言わざるを得ません。
もちろん所有者の方の実情も踏まえた上で、具体的な修繕のアドバイス等も行っております。
まずは現状を把握するためにも、定期報告は必ず行ってください。
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今まで怠っていたが今後しっかりやっていきたい、しかし何からどう始めたらよいかわからないという所有者(管理者)の方はぜひ北工房へご相談ください。
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