特殊建築物等定期調査・建築設備定期検査の北工房 | 特殊建築物の定期調査奮闘Blog in 北海道 成田翔の汗かき定期報告

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10年に1度の外壁の全面打診

旭川市ピアザビルの外壁の一部が落下

6月23日午後6時頃、旭川市平和通買物公園の5階建て商業ビル「ピアザビル」から、外壁の一部(縦約20センチ、幅2メートル、厚さ20センチ、重さ約15キロ)が落下しました。

幸いなことにけが人は出ず、すぐに修繕と点検が行われました。

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事故翌日、弊社大林が現地へ行ってくれました。

テレビ局の取材カメラなども来ていたそうです。

 

異常なし?

所有者の話によると、ビルは築40年。

今年4月に市へ「異常なし」と定期報告を行っていました。

しかし現地写真(大林が撮影したもの)を確認したところ、凍害などを起こしてタイルが剥がれている箇所や、さび汁が流れた跡も見られます。

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また、ピアザビルの外壁はタイル貼り。

平成20年の建築基準法施行規則の一部改正により、外壁タイル・石貼り・モルタル等の劣化状況を、10年に1度、全面打診調査することが義務付けられています。

 

「異常なし」というには少し疑問が残ります…。

 

10年に1度の外壁全面打診

建築基準法施行規則の一部改正(平成20年4月1日施行)により、定期調査の項目や判定基準の明確化、また報告内容も関係資料添付などが義務付けられ、外壁の全面打診についても定められました。

全面打診についてお問い合わせが多いため、簡単にご説明します。
建物の状況により緩和措置など適用になる場合もありますので、ざっくり解説としてお読みください。

 

●これまでは…
手の届く範囲を打診、その他を目視で調査。
異常あったとき→「精密調査を要する」として建築物の所有者等に注意喚起。

●平成20年4月1日以降は…
手の届く範囲を打診、その他を目視で調査。
異常あったとき→全面打診等により調査。加えて竣工、外壁改修等から10 年を経てから最初の調査の際に※「歩行者等に危害を加えるおそれのある部分」を全面打診等により調査。

※歩行者等に危害を加えるおそれのある部分とは
当該壁面の前面かつ当該壁の高さの概ね2分の1の水平面内に、公道、不特定又は多数の人が通行する私道、構内通路、広場を有する壁面

 

こんなイメージでしょうか?(広報成田の絵心のなさを、とくとご覧あれ!!)

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この範囲内に多くの人が通行するような壁面は、10年に1回、全面打診調査すること、と定められました。
(壁面直下に鉄筋コンクリート造、鉄骨造等の強固な落下物防御施設(屋根、ひさし等)が設置され、又は植込み等により影響角が完全に遮られ、被災の危険がないと判断される部分を除く。)

3年以内に外壁改修若しくは全面打診等が行われることが確実である場合、又は別途歩行者等の安全を確保するための対策が講じられている場合は、全面打診等を行わなくても差し支えないこととなっています。

 

加害者にならないために

自分が所有している建物のタイルなどが落下して歩行者に当たってしまったら…?

小さな破片でも、高層階から落下すれば大怪我に繋がるほどの威力を持ちます。

 

ピアザビル所有者は「点検をしても突発的に事故は起きてしまった」と悔やんでいるそうで、目視中心の調査方法に疑問を投げかける声もあるようですが、今回のピアザビルの劣化状況で「異常なし」という点検結果は首をかしげます。

建物の劣化状況などに詳しい専門家がきちんと調査・全面打診をし、適切な改修が行われていなかったから起こってしまった事故ではないでしょうか。

 

旭川市中心部では老朽化したビルが多く、昨年5月にも似たような外壁落下の通報があったようで、建物の所有者・管理者は今年度の定期報告を期限内にきちんと行うとともに、修繕が必要な箇所については早急に対応していただきたいと思います。

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