防火設備点検で実際にあった指摘事項の事例
平成26年6月の建築基準法改正により、「防火設備定期検査報告制度」が創設されました。
札幌市では今年度(平成30年度)より定期報告が必要となります。
定期報告の対象となる防火設備
法改正に伴い、防火扉、防火シャッターなど防火設備について、建築物の調査・報告とは別に、防火設備の定期報告が必要となります。
ただし常時閉鎖式・外壁開口部の防火設備、防火ダンパーは対象ではありません。
防火設備の定期報告の報告周期は、建築設備の報告周期と同じ=1年に1度です。
用途によるのですが、例えば旅館などは、建物の定期報告が3年に1度、建築設備と防火設備の定期報告は毎年必要、ということになります。
飲食店だと、建物の定期報告も、建築設備・防火設備の定期報告も、毎年必要となります。
実際にあった指摘事項の事例①
早速、札幌市内にある事務所ビルの防火設備定期検査の依頼を頂きました。
ビルに入っている企業の営業時間外で作業を、とのご指示でしたので、夜間に点検作業を行いました。
こちらの写真は、防火戸が床擦りしていて完全に閉まらなかった例です。
床が引っ掛かりやすい素材のタイルカーペットのため、戸が床に擦ってしまい閉まりきらず、不具合事象として報告しました。
空調設備が作動していると負圧、正圧の関係で防火戸が閉まりにくいこともありますので、できることなら空調を停止して行った方がよいでしょう。
実際にあった指摘事項の事例②
この写真を見て何か気づきますか?
そうです、ドアの開き方に問題があります。
これだと防火シャッターが降りてきた際にドアにぶつかります。
ドアの開き方向を変更する必要があります。
実際にあった指摘事項の事例③
クイズのようになってきました。
さて、この写真はどこが問題となるでしょう?
正解は、防火シャッターが閉まると奥の部屋にいる人が閉じ込められ、避難できなくなってしまいます。
少し写真がわかりづらいですね。
この壁の奥は冷蔵庫などが置いてあり、給湯室として使用しているスペースのようでした。
火災時、写真正面の壁のレールに沿って天井からシャッターがおりてきますが、この衝立のような壁の際ギリギリで閉まってしまうため、奥にいる人が閉じ込められていしまい、避難ができません。
実際にあった指摘事項の事例④
こちらの写真は、防火シャッターのシャッターケースの点検ができなかった例です。
シャッターが開いているときはクルクルと上の方へ巻いて収納されていますよね。
今回はそのクルクルされたものが天井内にあるタイプでしたが、棚があり、脚立を使って天井点検口からその部分を点検することができませんでした。
また、シャッターのすぐそばに可燃物が置かれていると、シャッターが完全に閉まった状態でも放射熱によって延焼する恐れがあるので、可燃物はシャッターからできるだけ離しておくことが大事です。
その他にも…
その他、防火扉が閉まるときの力を測定したり、閉まる速度なども計測したりします。
煙感知器の検査では人工的に煙を発生させてきちんと作動するか点検します。
熱感知器は、付いている小さなシールの色で感知器の種別を判断できるんですよ。
そんなちょっとしたお役立ち情報なども少しずつご紹介してまいります。
ちなみに共同住宅以外の建築物は、9月30日までの報告期間となっています。
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