特殊建築物等定期調査・建築設備定期検査の北工房 | 特殊建築物の定期調査奮闘Blog in 北海道 成田翔の汗かき定期報告

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エフロレッセンス(白華現象)は危険か、危険ではないのか

北工房という一級建築士事務所で特定建築物等の定期調査・建築設備定期検査を行っております成田です。

2020年初ブログ。
本年もゆるりとお付き合いくださいませ。

 

エフロレッセンス(白華現象)

本年最初の実例紹介は、札幌市内の体育施設で見られたエフロレッセンス(白華現象)からお届けします。

こちらは体育施設のバックヤードのコンクリート壁です。
白く液体のようなものが流れ出ているのがわかりますか?

これがエフロレッセンス(白華現象)です。

エフロレッセンス(白華現象)-1

エフロレッセンスとは、目地などから雨水などがコンクリート内に浸入し、モルタル中の可溶性物質(水酸化カルシウム)と混じってクラック(ひび割れ)などがら滲み出し、それが空気中の炭酸ガスと反応して白く盛り上がったように固まる現象です。

鍾乳石(つらら状の石灰石)のように成長することもあるそうです。

 

有害?無害?

この現象自体は美観上の問題はあるものの、コンクリート強度に影響を及ぼしたりするものではありませんし、この白い塊自体は無害です。

しかし、エフロレッセンスが発生しているという事は、どこかから浸入した水分によってコンクリートのアルカリ成分が流れ出ており、コンクリートの中性化が進んでいるという証拠。

つまり、コンクリート内部の鉄筋が錆び、構造強度の低下に繋がることが考えられます。

 

また、中の鉄筋が錆びて元の太さより太くなることによりコンクリートが押し出されて剥がれ落ちる「爆裂」に繋がる可能性もあります。

中の鉄筋の錆びが進行している場合は、白い塊に混ざって、茶色く錆も染み出していることがありますので観察してみてください。

エフロレッセンス(白華現象)-2

 

危険?危険ではない?

エフロレッセンスは突然現れるものではなく、急に建物の劣化が進行するものでもありません。
エフロレッセンスが原因で起こった大きな事故というのも聞いたことがありません。

そういう意味では、補修の緊急性の高い危険な劣化事象ではないかもしれません。

しかし、どこかから水が浸入して中の鉄筋を着実に錆びさせていることは間違いありませんし、放置してどんどん劣化が進行し、外壁タイル落下事故などに繋がる可能性も大いに考えられます。

 

初期段階で補修を行えば補修費用も抑えられます。

人間と同じく、早期発見・早期治療が重篤化を防ぐことに繋がるという事例のひとつでしたのでご紹介させていただきました。

 

ちなみに程度にもよりますが、鉄筋露出や著しい白華、ひび割れ、欠損などは特定建築物の定期報告の際の判定基準に含まれているので、そのような事象が見られた場合は「要是正」として報告をあげます。

エフロレッセンスの発見自体は専門的な知識がなくても見つけられますので(白っぽい仕上げの場合などはわかりづらいかもしれませんので、よく目を凝らして見てみてください!)、白く何か染み出ているところはないか、確認してみてください。

 

北海道札幌市 特殊建築物等定期調査・建築設備定期検査の北工房
成田翔