結露による塗膜の劣化と、じゃあ直しとくね!が簡単にできない問題
北海道はコロナもだいぶ落ち着いてきましたので、今年度分の特定建築物の定期調査や建築設備・防火設備の定期検査を出来るところから順次進めております。
まだまだ警戒が必要ですので、施設で発熱者が出たりした場合は調査日の当日でも延期させていただいたり、普段からマスクや手指の消毒などは引き続き徹底しながら実施しています。
結露を繰り返した結果…
先日お伺いした共同住宅(分譲マンション)で指摘をした事例をご紹介します。
こちらはマンションの階段室の附室(ふしつ)です。
附室内の壁で結露が繰り返し発生し、塗膜が劣化してポロポロと剥がれている状態でした。
※附室とは火災時などに煙を避難階段室まで侵入させないために設けられている避難階段室の前室のことです。
塗膜の劣化だけなら塗り直すといいですよとお勧めで終わるのですが、今回は状態から結露が繰り返し発生していると予想され、細かいひび割れなどから水分が浸入して躯体に悪影響を及ぼす可能性があったため定期報告の指摘事項として報告書を提出させていただきました。
カビも発生している状態でしたのでお住まいの方々の健康への影響も懸念されます。
じゃあ直しとくね!とはならない問題…
ワンオーナーの賃貸物件やビルなどでしたら予算の有無はありますが危険と判断された劣化事象などあれば修繕しますね、とメンテナンスをすることが可能です。
(なかなか実際に直しておくね!ときちんと修繕してくださるオーナーさんが多くないのは事実ですが…涙、涙…)
しかし分譲マンションだとそうはいきません。
ちょっとした修繕でも共同住宅の共用部の工事は勝手に行うことはできず、実際に修繕工事に至るまでは時間がかかります。
管理組合によっては修繕積立金の不足など、直したいのに直せないという機能不全状態に陥ることもあり、管理組合がきちんと日頃から積極的に建物の状態やメンテナンスの必要性について認識し、長期修繕計画など計画的に修繕予定を立てていかなければ難しい問題です。
きっかけとしての定期報告
わたしは特定建築物の定期調査を行い、ここが危険でしたと報告書を作成する立場なので、実際にどこまで修繕されるのかはわかりません。
いつまでに直しますと記載する欄はありますが、その先きちんと是正されたか確認するのは提出先の特定行政庁の範疇です。
翌年もしくは3年後に再度弊社へご依頼いただけるかもわかりませんので、ご依頼をいただけない限りは確認のしようもありません。
ただ、弊社は設計事務所で、修繕に関してのご相談なども承ることができます。
報告書に〇✖と書いておしまいではなく、きちんと建物のメンテナンスを行い安全を保っていきたいというオーナー様がいらっしゃったら全力でお手伝いできたらと思っています。
特定建築物の定期報告は義務なので1年に1回もしくは3年に1回は建物の状態を強制的に確認させられる(と言ったら言葉が悪いでしょうか…)良い機会だと思います。
定期報告の結果をもとに所有物件の状態や未来について考えるきっかけとして活用し、何かあればご相談いただけたらなーと思っております。
営業っぽくなってしまいましたがそんなつもりもあったりなかったり…!!
ということで、明日も調査へ行ってまいります!